Neo Cab のレビュー
オートメーションから制圧された世界で、ヒトであれ。ロス・オジョス最後の人間雇われ運転手のリナとなろう。友人とライフラインは消えてしまった。お金も、ライフラインもない。ただ、運転するのみ。
アプリID | 794540 |
アプリの種類 | GAME |
開発者 | Chance Agency |
出版社 | Fellow Traveller |
カテゴリー | シングルプレイヤー, Steamの実績, スチームクラウド, 部分的なコントローラーサポート, 携帯でリモートプレイ, タブレットでリモートプレイ, 字幕があります |
ジャンル | インディー, RPG, アドベンチャー |
発売日 | 3 10月, 2019 |
プラットフォーム | Windows, Mac |
対応言語 | English, Portuguese - Brazil, French, Italian, German, Spanish - Spain, Simplified Chinese, Traditional Chinese, Japanese, Arabic, Russian, Korean, Turkish, Dutch |

2 511 総評
2 037 ポジティブなレビュー
474 否定的レビュー
ほとんど肯定的 スコア
Neo Cab は合計 2 511 件のレビューを獲得しており、そのうち 2 037 件が好評、474 件が不評です。総合スコアは「ほとんど肯定的」です。
レビューのグラフ
上記のグラフは、Neo Cab のフィードバックの傾向を示しており、新しいアップデートや機能が導入された際のプレイヤーの意見の変化を視覚的に表しています。このデータを通じて、ゲームの評価の推移を理解できます。
最新の Steam レビュー
このセクションでは、{name} の最新 10 件の Steam レビューを表示し、さまざまなプレイヤーの体験や感想を紹介します。各レビューの概要には、総プレイ時間、肯定的・否定的な反応の数が含まれており、コミュニティのフィードバックを明確に示しています。
プレイ時間:
269 分
5時間弱でクリア。
タクシー(Uber)ドライバーとなって客と会話しながらストーリーを進むアドベンチャーゲーム。
バーテンダーになる『VA-11 Hall-A』のタクシードライバー版だとイメージしてのプレイだったが、違いも多くあった。
1つ特徴的なのは客と交流する前に、まず誰を乗せるか(拾うか? )選べるということ。
基本的には乗車を希望する客が複数人おり、1日に3人乗せることが出来る。時間経過があり、1人目を目的地まで連れて行った後、選ばなかった客がまた希望するとは限らない。
私のプレイでは全ての客を乗せることは出来なかったし、会話の選択肢で好印象の物を選んでも継続的に乗せなければそれ以上の進展はないというのも注意が必要。
自分が仲を深めなかったあの人物はどんな人だったのだろう?と考えてしまうのも後感が良いゲームだったと思う。
大筋のストーリーはあるが、私が面白かったのは世界観。
それぞれの客から語られるのは違った視点から見る1つの街について。「Capra」という企業が支配していると言っても良いディストピアチックな街の中で主人公が乗せる客は、企業の職員からクーデターを企てる輩まで様々。SFが好きだったり、ゆったりしながら世界を知っていくのが好きな方にはおすすめ。私は楽しみました!
ただし特別な快感が得られるような感動的なゲームではありません。
👍 : 6 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
267 分
ものすごく興味深い。
現代の社会と当然のようにありながら課題を抱える価値観、市民活動/社会運動と見なされるものを取り巻く葛藤と矛盾と希望...
ギデオンとリアムが好きだったかな!
サイバーパンクな見た目に惹かれてレビューも見ずにセールだったから購入してみたけど、すごく楽しかったです。
1周だけなら4時間くらいで終わるので気軽にプレイできるかと。
個人的な意見としては、友情は素晴らしいとされているけれど、忠誠を誓ったり自分自身を犠牲にするものではないかな。
👍 : 2 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
1135 分
[h1]●ゲームの説明[/h1]
とある企業が大きく支配する街「ロス・オジョス」に引っ越してきた主人公リナ。ところが一緒に暮らすはずの親友がいなくなってしまい、住居も金もない状態に。
彼女の仕事であるタクシー業で日銭を稼ぎつつ親友を探すそんな近未来アドベンチャー。
ただのノベルゲーではなく、金銭と働きぶりの評価あり、金銭はイベントで、評価はゲームオーバーに影響する。本格的な経営ゲーム程ではない為、選択肢でお金がもらえると理解すればOK。
マルチエンディングで数種類ほどエンディングあり。
[h1]●良い点[/h1]
[b]・豊富なキャラとストーリー[/b]
タクシーに乗せられるキャラクターは最低でも10人以上はいる。そのキャラ毎にストーリーがあり、身の上話から、退屈な話、電波な話を投げかけられる。
そんな中で再び利用してくれるキャラを乗せると、以前見た時は別の印象を受ける事が多い。
そういった時間経過による状況変化、もしくはキャラクターの二面性が見えてくると面白い。そしてそれに対するリナの反応も同様だ。
そしてリナの選択によっては、彼らの抱える問題を解消する事も悪化させる事もできるそのような自由度もよい。
[b]・没入感のある視覚[/b]
運転中はしっかりと背景が移動し、カーブや一時停止、駐車していると思われるような移動の仕方をしている。その様子がリアリティと没入感に繋がっている。
同様に駐車後のスマートフォンの様な端末の操作も近未来的でかつシンプルで分かり易い。実際に体験しているかのような描写も多く大変良い。
また主人公のリナは夜にしか勤務しないのだが、その近未来都市の夜景が綺麗に、そして同じように醜悪に映るだろう。
[b]・細かい描写が良い[/b]
詳しく説明するとネタバレになるのでしないが、街を牛耳っている企業の悪行と、とある人物の所業の対比。序盤の方で違和感のあった細かい描写の理由が終盤になってわかるという伏線の張り方がしっかりとしている。
[h1]●微妙な点[/h1]
[b]・感情の制御[/b]
これが本作の楽しみの一つで、感情が特定の方向に傾きすぎると選べる選択肢が増えたり、減ったりする。
それ自体は良いのだが、ある程度の数値に落ち着かせたくとも、強制的な会話で感情が著しく狙った感情とは別の感情に向かってしまう事が多い。かといってやり直そうにもスキップ・早送りが出来ない為、豊富な選択肢から選び直すのも大変億劫だ。
[b]・オートセーブ[/b]
客を降ろした後にオートセーブしてくれる上に、上書きではなく新規でセーブするので、選択肢を間違えたり、ある瞬間からやり直したい時はプレイしやすい。
しかし客を降ろして、次の客を乗せる間に発生するイベントはロードすると毎回発生する為、そこの会話文を連打して流すのが面倒。
[h1]●悪い点[/h1]
[b]・スキップ・早送り機能なし[/b]
割とこれが致命的。メッセージ・テキスト量もそこそこある為、全キャラとの会話を楽しみたい人や、選択肢を選び直したい人は同じ人間との会話やイベントに飽き飽きとしてくるだろう。
筆者は早送り出来ない事から2周ぐらいでやめてしまった。エンディングも色々とありそうだったが、ある2人のエンディングを見るだけで終わった。
[h1]●お薦めな点・感想等[/h1]
企業が推すAIに支配されつつあるディストピア風味な物語。どちらかと言えばメインストーリーはおまけで、乗客のサブストーリーが大きく割合を占めている。そういうサブキャラの小話が好きっていうなら、お薦めできるゲームだ。
あとVA-11 Hall-Aの影響もあるだろうが、主人公のリナを同性愛者だと誤解する人もいそうだ。しかし作中では他人に暴言で中傷される以外でそのような描写はないし、逆に男に興味を持つ描写がある。なのでLGBTQ+が濃い作風が苦手でも大丈夫だし、逆にLGBTQ+が好きならゲイもしくはバイなら1人いるよとしか言えない。
最後に個人的なフィーリングの話だが、このゲームはエレクトロニカ系の曲が多く、静かなエレクトロニカが好きなら気に入るかもしれない。筆者は気に入ったのでOSTを購入して良かった。
👍 : 2 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
616 分
[h1]気分屋の零細タクシードライバーが送迎する接客アドベンチャー[/h1]
アメリカのインディーズChance Agencyによる、AIの自動運転が主な時代で零細雇われドライバーを営む接客ADV。
かつての親友を頼りにロス・オジョスに移住する予定のリサが、事件に巻き込まれつつも細々と運営していく。
収支は任されていて個人タクシーに近いので、馴染みの客を作りながら、充電スタンドや宿泊施設などを節約していかねばならない。
接客を酷評され続けるとドライバーとしての資格を取り上げられるし、資金難で給電できずに経営が立ち行かなくなれば、その場でエンド。
AIに仕事を取られた労働者と言わんばかりの、なかなかに厳しい現実を突きつけられる。
プレイヤーは乗客を要所要所で選ぶことができ、感情によって選択できない選択肢もあるので、会話の応酬のパターンは結構多くて複雑。
プレイ時間は6時間前後、実績は18でやり込みと進行で、全実績達成もし易い。
長さに比べて値が張るが、登場人物の表情や細やかな動きなどわりと作り込まれていている。
客の送迎毎にセーブポイントが生成されるので、気になったりしたら即やり直しが可能。
COFFEE TALKやThe Red Strings Clubなど接客ものが好きならばおすすめ。
👍 : 5 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
335 分
あまり期待してなかったけど、結構 面白かった。
ちょーっと翻訳が完全にできてなくて、たまに英語のままでキャラがしゃべっちゃうのが惜しい。
がんばって(?)世界観にすぐに没入しないといけないのが人を選ぶかもしれない。
👍 : 3 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
1441 分
有人タクシー会社「Neo Cab」の社員の一人であるリナが1年前に別れてから全く連絡のなかった大親友のサビーから”いっしょに住まない?”という連絡を受けて驚き・喜び・取る物も取り合えずサビーの住む街に車を飛ばし、サビーと念願の再会を果たした後、シェアハウスに二人で向かう前にサビーはリナの前から姿を消してしまい、リナは消えたサビーが心配で・仕事をしないとお金もなく・シェアハウスの場所も知らないから泊まる場所もないという状態に陥り、そして・・・というタクシーのお客さんとの会話が基本の選択肢有り・マルチエンディングの近未来SFサイバーパンクアドベンチャーゲームです。
面白かったです!お客さん達の物語を見続けるのはとても楽しかったです!
ほのぼのとしたタクシードライバーの日常物語かと思っていたら、サスペンス寄りの物語で少し驚きました。
サイバーパンクSF・少しのミステリ要素入りサスペンス物語や、物語を追うのがお好きなお方にお勧めです。
BGM・SEともに良く、UIも分かり易くプレイしやすいです。
日本語翻訳は見事で文章もスラスラと読めて素晴らしいのですが、2箇所程翻訳が抜けていて英語で台詞が表示されていて、そこが少し残念でした。
セーブデータは自動セーブ方式で、要所要所切の良いところでセーブされていつでもそこからロードできるようになっていて周回プレイに役に立ちました。
ちなみに、「コンティニュー」は最新の自動でセーブされたセーブデータから始まります。
「つづきから」は要所要所のセーブデータからロードできます。
例えば”1日目終わり”からとか、”お客さんを乗せ終わった後”等々、細かくセーブされています。
プレイ時間は全実績を取得するまでに22時間程でした。
私はかなりゆっくりプレイして更にほぼ全てのお客さんの物語を回収したので、これだけの時間かかっていますが、恐らく普通にプレイすると全実績解除まで10時間程ではないかと思います。
物語はアメリカドルに信用がなくなり電子マネーが基本になった近未来のアメリカが舞台です。
道に走っている車は大企業Capraが有する”無人車(&無人タクシー)”がほとんどで”有人タクシー”の方が珍しいといわれる、そういう町で主人公は大親友であるサビーが原因?で”有人タクシー”の仕事を続けることになってしまいました。
”有人車禁止法案”を掲げ、それを押し通そうとする大企業Capraと、その法案とCapraを潰せ!という人達の争いに巻き込まれ、主人公はその中で何とか一人で情報を集めようと藻掻き・足掻きながら仕事を続けていき、そして・・・という物語です。
このゲームは「お客さんとの会話」がメインとなっています。
お客さんとの会話はとても楽しいのですが、厄介なのは主人公の現在の感情によって”選択肢が変わる・選択肢が選べなくなる”ことです。
例えば感情が”怒り”の時はお客さんを肯定したり宥めたりするする選択肢は選べなくなり、感情が”恐怖”なら相手の顔色を伺って相手を不快にさせる選択肢は選べなくなる等々です。
ゲーム内に人間的要素(頭ではわかっていても行動ができない・したくない)を取り入れて、それを表現しているのは面白いと思いました。
しかし、選びたい選択肢が選べない。というのは少し辛かったです。
主人公の現在の感情は主人公が付けているFeelGridというデバイスの色によって分かるようになっています。
赤なら怒り・黄色は興奮・青は憂鬱・緑は平穏という風に現在の感情が色で常に見えています。
プレイヤーはその装置から主人公の感情を読み取りつつ、更にお客さんを不愉快にさせないように(評価が悪くなると仕事をクビになります)選択肢を選んでいく必要があります。
この選択肢選びが難しい!
アメリカンドラマのようなジョークや皮肉が効いた台詞も選択肢になっていて、どの選択肢を選んだら主人公及びお客さんの感情がどちらに動くのかがさっぱりわからず、選択肢の前でかなり悩ませてもらいました。
こちらは素直な気持ちで選択肢を選んだのにお客さんの反応がおかしくて「え!今の台詞は皮肉だったの!?悪い意味だったの!?うそー!?」ってことが何度も起きました。
選択肢の前で真剣に悩み続ける時間は最高でした。
とても楽しかったです。
少し残念だったのが、お客さんの表情・仕草の差分がもっと欲しかったという点です。
折角、”感情”を強調しているのだからお客さんの表情・仕草はもっと変化してお客さん達の個性を見せて欲しかったです。
お客さん達の物語・お客さんとの会話・主人公とサビーの愛?友情?の物語、そしてサスペンス寄りの物語も面白かったです。
物語を追うのがお好きなお方や、サスペンス寄りの物語がお好きなお方にお勧めします。
全実績取得を狙うお方へ。
取得するのに難しい実績が2つありました。
以下に実績までの解法を書きます。
ネタバレなので隠します。
[spoiler]・「解雇通知」
3夜連続で星4つ以下をキープする必要があります。
これが結構難しいです。
ほぼ間違いなく星5をくれる優しいお客さんが結構いますので、それらのお客さんを避けつつ、星1~星3までの評価をくれるお客さんを3日連続で乗せ続けなければなりません。
相手を不愉快にする選択肢を選べば星を減らしてくれるお客さんは以下の通りです。
「ギデオン」・「アゴノン」・「ウーナ」・「サム」・「フィオナ」・「ルーク」・「チャーリー(星5の状態でしか乗せられないので注意)」
これらのお客さんに積極的に喧嘩を売りに行きましょう。[/spoiler]
[spoiler]・「返信求む!」
「チャーリー」と協力関係になる必要があります。
「Stanzmaschine」に行けるようになったら即「Stanzmaschine」に行き「チャーリー」の情報を貰い、その後「チャーリー」を二回連続で乗せた後、もう一度「Stanzmaschine」に行き「サビー」の情報を聞きます。
その後、一日の終わり(次の日の始まりだったかな?)にサビーから連絡が入り実績解除です。
一度目の「チャーリー」の会話では単刀直入には話さないよう遠回りに話をしてください。
上手くいってもいかなくても貰う星は1つですが、上手くいけばすぐに2回目のチャーリーが地図に現れます。[/spoiler]
👍 : 9 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
225 分
低予算なつくりだけど雰囲気はいい
ストーリーは意味深でなんらかのメタファーを含んでそうで実はなにもなさそうな気もする
乗客はミステリアスで知的な魅力に富む会話をしてそうだけど実はたいした内容でなくあとで伏線回収されることもなさそう
つまり雰囲気ゲーなので奥行きはないということ
👍 : 5 |
😃 : 0
肯定的
プレイ時間:
648 分
Ver.2019-10-04 12:54 PM(87D8c886B9)で、何度か反応を確認するためロードをしつつ約4時間で初回クリア。同Ver.にて約10時間で全実績解除。同Ver.でのファイルサイズは約600MB。
[h1]Pros:[/h1][list]
[*]魅力的なキャラクター
[*]反応を思わず試してみたくなる面白いシナリオ
[*]システマチックながら時折選択の余地がない感情の制御
[*]ローカライズの手腕
[*]ネオンで彩られ濃淡がハッキリとした印象的なビジュアル
[*]場を盛り上げるサウンド
[*]シーケンスを管理しやすいオートセーブタイミング[/list]
[h1]Cons:[/h1][list]
[*]前画面の選択肢やエフェクト処理が残る不具合[/list]
[h1]感情的だっていいじゃない、だって人間だもの[/h1]
巨大企業Capraが推し進める自動化によって職を奪われつつあるタクシー運転手となって、何かしらの事情を抱えている乗客と対話していくアドベンチャーゲーム。画面に表示される選択肢を状況によって選んでいくところは普通のアドベンチャーゲームに変わりありませんが、feelgridと呼ばれるバイオフィードバックデバイスにより感情が色によって可視化されているのが特徴。選んだ選択肢によってプレイヤーであるリナの感情も左右され、客に与える印象やそのときに選べる選択肢などが異なっていく。客を乗せ終えたときの評価と手持ちのお金、感情のバランスを維持しつつ、失踪した親友を探そう。
feelgridの感情を喜怒哀楽の四分割にして色で表す仕組み、これ自体は全く新しいものではなく女神異聞録ペルソナなんかでも見られた試みでした。ですが、守るべき評価と金銭というリソースが他にある状況ではこれが上手く機能しています。感情を優先させるべきかどうか、プレイヤーにどうあるべきかを問われます。概ね、評価を得るには自身の感情を抑える方向でコントロールすればよいと考えるのですが、一癖も二癖もある乗客が思った通りの反応を返してはくれません。勿論、結果論として見れば反応は決まってはいるのですが、時には思い切って感情を露わにすることも必要になっています。また、誤ったと思う選択で悪い評価を得たことにより、その後にそれを選ぶことでしか見れない展開もあります。感情の可視化は、そうした先の読めなさと感情の段階による分岐により、このときにこの選択をしていたらどうなっていただろうと物語をより主体的、能動的に感じさせ、リプレイを促す一助を果たしていると言えます。
深夜に夜間運行しているタクシーということもあり、暗闇の中で異彩を放つネオンで飾られたビジュアルはとても印象的です。その光を浴びて濃淡がはっきりとした陰影を持つ乗客にも、より個性的な印象を持たせることに成功しています。そんな乗客が思い思いに語る物語には惹かれるものがありました。一見すると全く道理が通用しなさそうな相手でも繰り返し話をすると奥底に人間性を垣間見ることができたり、お互いの偏見から少しずつ歩み寄れる様が、自動化された世界観とはとても対照的に不器用で非効率だけど、それがとても人間ぽくてそうした空間を束の間提供できてると思えることがいいなと感じられます。そうした情景や心理描写は元々の脚本が素晴らしいのもあるとは思いますが、共感を得られるという意味合いにおいて本当にうまくテキストに落とし込めており、翻訳者の手腕も相当のものだと感じました。
幾つか気掛かりな点を述べます。テキストの自動送りが一律の速さで処理されページ送りのウェイトが長くないことから、個人的には常時テキスト送りを切って読み進めることで対応したので問題と感じるほどではないにせよ、使いづらく感じました。前画面の初期化が完了せずに次の画面に遷移することで、選択肢だったりパトカーのエフェクトだったりが画面に残り続けることがあります。背景がスクロールし続けている状態で客が飛び乗って来たみたいに見える場面もありました。いずれも暫くテキストを送り続け、再度初期化シーケンスを踏むことで自然治癒しますが不格好で気付きやすいです。また幾つかのテキストは英語がそのまま表示されるところがありました。
大手企業から意欲的に取り入れられている自動化で仕事を奪われるという話は現実でも聞くことがあり、話の中ではそうしたフィクションと現実が少なからずオーバーラップする場面があります。一般的にはシンギュラリティは2045年頃に到来すると言われ、私の世代からすれば特に意識することもないのかもしれませんが、それでも資本主義が加速させる効率化が予測させる可能性を提示できていたように思えました。本作をプレイし終えたあとには少なからず何かしら思うところがあるはずです。客を乗せ終えたところで実行されるオートセーブは進捗管理が容易でリトライしやすく、枝分かれするシーケンスを試しやすくなっています。Apple Arcade(600円)と比べると割高かもしれませんが、アドベンチャーゲームに抵抗がなければ、ぜひプレイしてみてください。オススメです。
👍 : 25 |
😃 : 2
肯定的
プレイ時間:
204 分
バーテンダーとかカフェとかに続くSF・異世界会話劇ゲームだが、タクシードライバーという着眼点は面白い。サイバーパンク世界ではタクシーを良く見るような気もする。空を飛んでいるやつ。
ただ前述のバーテンやカフェの作品とは趣旨がやや異なり、乗客の人生や価値観からサイバーパンク世界の機微を感じることが要旨の情緒的作品ではなく、ゲームクリアの為の目的がはっきりしたミステリーノベルゲームに寄った作品だった。
主人公の気分の状態によって選択できない選択肢が無数にあり、なかなかストレスを感じる。結果、個性的な乗客たちとの会話を洒落こんで楽しむことよりも、主人公の女性のメンタル管理にばかり心を砕くことになってしまう、なんとも本末転倒なプレイ感が残る。おれはお前のカウンセラーではないぞ?
3Dポリゴンで作られた後部座席のキャラクターは不自然に微妙な表情の変化をするのみで、お行儀よくシートに座って殆ど身じろぎもしない。台詞がどんなに面白くてもマネキンのように固まったキャラクターとの会話では雰囲気も台無しだ。限られたアニメーションパターンのva-11 Hall-Aのほうが遥かにイキイキとしてエモーショナルを感じられた。
邦訳の質も決して良くはなく、キャラクターの挙動のぎこちなさに拍車をかけて、世界観にどっぷりダイブすることを妨げる要素が多い。魅力的なはずの未来世界に感情をトリップさせることは適わなかった。
そのほか細かい感想
・登場人物が多い割に尺が短くて覚えきれない。登場人物参照できるジャーナルが欲しい…
・SF作品の女主人公はレズじゃないといけないのだろうか?
サイバーパンクジャンルの“お約束”に同性愛者が大量にいるということも、加えられつつあるのかもしれない。
・アゴノン可愛い
👍 : 29 |
😃 : 2
否定的
プレイ時間:
1372 分
[h1][b]「フロイトも顔負けのタクシー運転手だな」
ー映画『コラテラル』[/b][/h1]
[h1]ストーリー[/h1]
自動運転技術が一般化した近未来。
人間によるドライブサービスを提供する「Neo Cab」の従業員であるリナは、今日も大都市ロス・オジョスにてタクシーを走らせていた。
時には刺激的、時には鬱屈した彼女の日常はかつての親友と出会うことで変化を遂げていく…。
[h1]概要[/h1]
タクシードライバーの日常を体験できるADV。
プレイヤーは主人公リナに扮し、タクシー会社から課せられた1日のルーチンをこなしていく。
リナがドライバー稼業を続けるために必須とされるのが「評価」と「現金」である。
リナの運転するNeo Cabを利用する客はいずれも一癖も二癖もある人々だ。ドライバーとただ会話したい者、自分の相談に乗ってほしい者、訳ありな者、ただの変人などなど個性豊かな乗客がリナとの会話を楽しむために、タクシーに乗り込んでくる。
そんな彼ら彼女らの話を聞き、時には適切な助言をすることによって、タクシー降車時アカウントに振り込まれる現金と評価がリナの生計を支えることになる。
またゲーム序盤に入手するリナの精神状態を色で表すブレスレットも面白いシステムで、リナが乗客とのやり取りの際に感じた感情がバロメーターとして表現され、色の比重によっては会話の選択肢が増えたり限定されたりする。
そのため、プレイヤーはブレスレットの色を見ながら慎重にゲームを進めていかなければならない(このシステムが終盤の伏線にもなっている)。
[h1]感想[/h1]
不思議でありながら、味わい深い作品だった。
タクシーの車内という限定された空間でのみ展開する物語なのに、非常に雄弁かつ物語性の強い内容であり、機械化、オートメーション化がもたらす「人間疎外」という、ガジェット偏重の我々現代人が直面するであろう問題を提起した内容になっていた。
作風としては狭いバーの一室でサイバーパンクな世界が展開される『VA-11 Hall-A』や『The Red Strings Club』に酷似しており、随所に挿入される小粋かつ哲学的な内容がプレイヤーに深い余韻を与えてくれる。
予告編から感じるものがあったが、インディーズ作品の底力を感じさせる内容だった。オススメである。
[h1]評価[/h1]
【GOOD】
・近未来における人間タクシードライバーという設定。
・タクシーの乗客たちとの小粋なやり取り。
・少ないロケーション、設定で雄弁に語られる世界観。
【BAD】
・ロケーションが限定されるため、マンネリ化しやすい。
・乗客とのやり取りに比して、ストーリーは凡庸。
👍 : 67 |
😃 : 2
肯定的