Train Simulator: The Story of Forest Rail Route Add-On DLC

細かいことを気にしなければ買い

中国を拠点に活動するUnion Workshopが開発した、日本の北海道の風景をベースとした架空路線であり、Train SimulatorのDLCで日本をモチーフにした最初期の路線でもあります。軌間も日本と同じ1067mmの狭軌が再現されました。これ以降に実在路線として2016年に和歌山・桜井線、2017年に日高本線、2020年に只見線が出ており、本作は実在の日本路線アドオンに先行したプロトタイプとしての位置付けもあると思われます。 鉄道の名は「松原鉄道」といい、かつて貨物輸送、特に材木輸送で賑わった路線が1960年代に廃止となった後、1990年代に地元実業家の手により観光鉄道として復活したという設定です。石炭積込所や材木積込所、砕石所といった貨物施設も残されてますが、車両は旅客車両だけで貨物車はないのが少々惜しいところです。旅客輸送も起点の松原駅など主要駅以外は2両分くらいの短さしかなく、旅客輸送は小規模です。最高速度は80km/hで、曲線や起伏が多いので速度に気を遣う運転になるかもしれません。 大きく分けて「松原線」と「大山口線」の2路線があり、松原線は北海道ちほく高原鉄道ふるさと銀河線の足寄～置戸間がベースの線形となっている一方、大山口線の方は途中までは完全架空で複数のループ線があり、途中からは士幌線とほぼ同じ区間をなぞっています。松原（まつはら）が足寄、林甸場（りんてんじょう）が置戸、沢湖川（さわこかわ）が糠平にほぼ当たります。 収録車両の「キハ750」はキハ07形がモデルで、戦前戦後を通じてノスタルジックなローカル線に似合う車両といえます。一方「キハ720」は香港のミニバスで使用されていたトヨタのマイクロバス「コースター」の中古車に鉄道車輪を付けたという点が奇抜です。収録は気動車のみですが、ディーゼル機関車や客車も走らせたくなります。 Standardシナリオは、大都会から松原鉄道に入社した女性主人公「チサ」を主軸とした物語が広げられ、シナリオには萌え絵調のキャラクターやカメラアングルの変化といったギミックが入っています。Steam版では5つのうち2つのシナリオ（Story about Kisaragi StationとLegend of the Last Train）がカットされており、Steam Workshopで別途公開されていますが、先行して出たJust Trains版ではこれらのシナリオも全て揃っているようです。 Careerシナリオの方は松原鉄道の運転士として、始発や終列車など時刻表に沿って運転するシナリオで構成されています。チサは松原鉄道の車掌としてキハ750に乗務されています。 大山口線の方には、非電化の貨物鉄道にしては現実離れした50パーミルの連続急勾配があり、炭鉱への分岐線に至っては70パーミルもの超急坂があります。貨物輸送全盛期には相当高性能な機関車が使われていたのでしょうか。高低差を稼ぐためのループ線も複数ありますが、現実には滅多に見かけないガーター橋主体の構造になっています。なお、TSのオプション設定でDetail levelの設定が低いと橋桁が表示されず線路が浮いて見えるため、設定でレベルを上げておきましょう。 北海道という土地柄のためか田園風景は少なく、原野や針葉樹林が目立ちます。沿線には宮崎駿監督作品の「千と千尋の神隠し」のお風呂屋「油屋」がモチーフの建物があったり、「沼原」「沼底」といった千と千尋の海原電鉄モチーフな駅名もあります。お寺、神社や五重塔といった「ザ・日本」を体現した建物も各所にあり、架空ゆえの自由度の中で日本的要素が凝縮された印象です。 ただ、線路の音の設定がイギリス路線向けのものを流用しているようで、日本でお馴染みの25mレール特有のジョイント音のリズム感が欠けており、リアリティを損なってしまいます。MODによる変更で対応できそうですが、せめてこの点に関してはリアルを追求してもらいたかったです。 日本の鉄道システムを緻密に再現したものではなく、その点を期待する人には物足りないと思われますが、アニメや漫画の世界観を取り入れた独特な世界観を体感できるという点では、TSでも異色のアドオンといえます。

＜いいところ＞ ・風景が綺麗 ＜ダメなところ＞ ・とても日本の風景には見えない ・キハ07ってこんなに速かったんだ~ ・キハ07って電気式だったんだ～ ＜総評＞ ・ごみ ・日本をモデルにした路線と考えてはいけない

発売から時間が経ちバグフィックスなどもあったようで、いくらか楽しめるようになった。 日本らしい雰囲気を感じることが出来るが、日本人としては「勘違い」している雰囲気も感じ一概にオススメできない。 現状唯一の日本(風)アドオンであり、去年から待ち望んでいた人も「ある程度は」納得出来る仕上がりになっているだけに、細かい点がとても気になるのが残念だ。 以下のレビューは発売直後のプレイレビューであり、現在は前述の通りバグフィックスを経ていくらかマシになっている。 そのまま残しておくが、あくまで当時としての参考として読んで頂きたい。 長いので結論から書こう。 「買わない方が良い。」 このアドオンは日本「風」の架空路線を追加するアドオンで、1種類の気動車も追加される。 去年の夏あたりから公式でもリリースを臭わせていたこともあり、数少ない日本人プレイヤーから してみると正に期待の星であったが、その期待は悪い方向で裏切られることとなった。 まず、鉄道ファンでなくても気付く点がある。日本の町並みとはとても思えないということだ。 まるで「千と千尋の神隠し」で先入観を持った人が何も調べずに作ったかのようで、 中国の建造物のような駅舎と、お祭りでもないのに町中の至る所に提げられている提灯、 挙句は「CONVENIENCE STORE」と堂々と看板を掲げるコンビニ。 民家もとても投げやりで、何もないところにいきなりポツンと置かれたり、 下調べを何もやっていないことがひしひしと伝わってくる町並みだ。 路線に関してだが、日本の鉄道ファンなら気付くと思うが、線路際にある標識や信号機が総じておかしい。 速度制限標識に意味不明なデコレーション(?)がなされていたり、停車位置標識が新幹線の ATC標識であったり、線路と線路の間に勾配標識があったり、ジョイント音が明らかに50m以上鳴らない。 極めつけには「橋脚のない橋」が登場し、それがループ線を作って自信の上を通過するなど RailSimで作った雑なレイアウトが想像できる。 おまけにシナリオ中はポイントは自動で切り替わらず、すべて運転士自身でてこ操作を行わなければならない。 運転に専念できず、苦痛を覚えることだろう。 車両に関しては、塗装や細かく書き込まれた車両諸元は雰囲気があるものの、それ以外全てが崩壊している。 このアドオンでは旧型の気動車を模しているが、加減速性能が現代電車のそれよりも高性能で、違和感しかない。 マスコンは無段階制御であり、ブレーキは自動空気式を模しているのだろうがこちらも無段階制御で、 何も下調べがなされていないのが明らかに伝わってくる。床下機器はトレイラー車かと思うほどさっぱりしていて、 上り坂でパワー不足に頻繁に陥るのも納得してしまう。 警笛ボタンがワイパーなどのスイッチ類と並べられてあるのも、調べていない証拠だろう。 ドアスイッチは運転台にあり、走行中でも開閉でき、もはや理解不能を通り越して意味不明である。 このRailworksの前作とも言える「Microsoft Train Simulator」でもそうであったが、 日本の路線として再現度がとても低かった。 日本路線を期待していた者としては落胆を感じ得ず、2500円をドブに投げ捨てた感覚だ。 外国人がこれを見たときはそこそこ満足できるのであろうが、日本人としてプレイすると違和感の嵐で、 運転中は購入したことに対する後悔の念に苛まれるであろう。 日本路線を期待していたのであれば、間違いなくお勧め「出来ない」作品であった。