The Excavation of Hob's Barrow のレビュー
The Excavation of Hob's Barrow(ホブズ・バロウの発掘)」は、フォーク・ホラーの物語駆動型アドベンチャー。ビクトリア朝時代のイギリスの片田舎の孤立した湿原を探検しながら、ホブのバロウの謎を解き明かそう。答えは土の中にある...。
アプリID | 1182310 |
アプリの種類 | GAME |
開発者 | Cloak and Dagger Games |
出版社 | Wadjet Eye Games |
カテゴリー | シングルプレイヤー, Steamの実績, スチームクラウド, Steam トレーディングカード, コメントあり, 字幕があります |
ジャンル | アドベンチャー |
発売日 | 28 9月, 2022 |
プラットフォーム | Windows, Mac, Linux |
対応言語 | English |

2 444 総評
2 264 ポジティブなレビュー
180 否定的レビュー
非常に肯定的 スコア
The Excavation of Hob's Barrow は合計 2 444 件のレビューを獲得しており、そのうち 2 264 件が好評、180 件が不評です。総合スコアは「非常に肯定的」です。
レビューのグラフ
上記のグラフは、The Excavation of Hob's Barrow のフィードバックの傾向を示しており、新しいアップデートや機能が導入された際のプレイヤーの意見の変化を視覚的に表しています。このデータを通じて、ゲームの評価の推移を理解できます。
最新の Steam レビュー
このセクションでは、{name} の最新 10 件の Steam レビューを表示し、さまざまなプレイヤーの体験や感想を紹介します。各レビューの概要には、総プレイ時間、肯定的・否定的な反応の数が含まれており、コミュニティのフィードバックを明確に示しています。
プレイ時間:
719 分
[i]わたしの心臓は彼の心臓、わたしの光は彼の光……。[/i]
パブリッシャーが Wadjet Eye Games であることからも見て取れるように、古き良きスタイルを現在に受け継いだポイント&クリック式のアドベンチャーゲーム。
舞台は19世紀?ぐらいのイングランド。若き気鋭の考古学者、トマシーナ・ベイトマンはショルダーという男からの招きでビューリー(Bewley)という田舎の村に向かう。ショルダーは村にある Hob’s Barrow という古い塚を一緒に発掘(Excavation)してほしいという。なんでもバロウにはある「秘密」が隠されているらしいのだが……。
村に到着したトマシーナは早速ショルダー氏を探すが、なぜか見つからない。バロウのことを聞いてもほとんどの村人が存在を知らず、わずかに知るものも「あそこには近寄らないほうがいい」「墓を掘り返すべきじゃない」「なんかへんなのが出るぞい」「さっさと帰ったほうがいい」などと忠告してくる。コッテコテのヤバさが迸るが、しかし科学的思考の持ち主であるトマシーナは「どこのバロウにも幽霊譚はつきもの」と取り合わない。
しかしショルダー氏の行方を追ううちに、村外れの沼地に住んで異教徒を崇める謎の野蛮人たちに出会ったり、夢で異形のなにかと遭遇したり、次々と不可思議な現象に見舞われる。果たしてホブス・バロウと村に隠された「秘密」とは……? というお話。
映画にはフォーク・ホラーというジャンルがある。フォークとは田舎のことで、つまり「都会住みの主人公たちが田舎に行ったらその住民がヤバいやつらだと判明し、ろくでもない目に遭う」内容のホラーだ。有名どころは『ウィッカーマン』。近年の話題作だと『ミッドサマー』あたりか。日本だと横溝正史のミステリを想像してもらえば近い。序盤で、あやしげな老人が出てきて「おまえら、さっさと出てけ!」と忠告してくるやつですね。
本作もまあいってみればそんな話恐ろしげな伝承が伝わっているらしい村があり、住民たちはどことなく奇妙で排他的。踏み入ってみると、酔っ払いには絡まれるし、偏屈な爺にも絡まれる。子どもはもれなくクソガキだ。そんなかれらを時には脅し、時にはなだめすかし、時には頼まれたおつかいクエストをこなしながら、村を取り巻く謎へと切り込んでいく。
ゲームのメカニクスはポイント&クリックの基本に忠実だ。しかし、洗練されてもいる。村中をしじゅう歩き回る関係上、ファストトラベルは当然完備で、歩行時も瞬間移動できるようになっている。TO DO リストを見れば次に何をすればいいのかわかるし、進行に詰まった場合があるとしても不必要に広くないマップのおかげで総当りみたいなことがギリギリ可能になっている。
謎解きの難易度はさして高くない。アイテムを組み合わせたり等の一手間やひとひねりを要求されることはあるが、パズルらしいパズルは終盤を除いてあまり要求されない。基本的には足を使って稼ぐタイプのアドベンチャーだ。
粗くローファイなピクセルで描かれるグラフィックは一見チープだが、実はモーションやカットシーンが非常に贅沢。特にカットシーンは、酔っ払って眼の座ったおっさんや嘔吐するおっさんや森の奥に住むあやしい老婆やなんだかよくわからない異形やブサイクなネコやミミズに覆われた人形などのイルなイメージを精緻に描写することに精力がそそぎこまれており、謎に見ごたえがある。ついでに全編フルボイス。
上記のとおりセッティングこそはコテコテで既視感があるのだが、それを物語るための細部(キャラやグラフィックや演出)が豊かさに溢れており、とにかく不穏な雰囲気作りがうまい。伏線も注意深く観察すればそこかしこに仕込まれている。ミステリ的な仕掛けや驚きがあるわけではないのだけれど、このストーリーテリングの豊穣さはそれ自体が一種の驚きだ。
そして、あの結末ときたら。衝撃のエンディングはプレイヤー間でも賛否を呼んでいるが、インディーならでは思い切りとしてここも評価したい。おもわずトゥルーエンドを探したくなる締め方(実際マルチエンディングと信じてトゥルールートを探したプレイヤーは多いらしい)なのだけれど、開発者曰く「このゲームにエンディングはひとつだけ。トマシーナの運命はいつも同じ」だ。
日本語版はいまのところない。時代設定が時代設定だけに古風な言い回しや単語が多かったりして、英語でプレイするのにけっしてとっつきやすい作品とはいえないけれど、唯一セリフが喋っているキャラの頭上に一行二行の短文で表示されるシステムなので一文が短めなのが救いだ。ちなみにネイティブがプレイすれば五〜六時間程度で終わるらしい。
個人的にはそこまであんまり良いイメージを持っていなかったオールドスタイルのポイント&クリックアドベンチャーを見直すきっかけになった一作。オススメ。
👍 : 13 |
😃 : 1
肯定的