The Last Spell のレビュー

ファイアーエムブレムとタワーディフェンスを組み合わせたような戦略ゲームです。 初めに言っておきたいのですが、個人的にはこのゲームはかなり楽しめました。 ファイアーエムブレムを最高難易度で遊ぶような方には刺さるのではないかと思います。 ではなぜおすすめしないのかというと、1プレイがあまりにも長すぎるからです。 このゲームは標準難易度の上にアポカリプスという難易度が用意されていて、クリアするたびにアポカリプス1、アポカリプス2と次の難易度が解放されます。 アポカリプス1で敵の体力が増え、アポカリプス2で敵の出現数が増え、という具合にどんどん条件が厳しくなっていき、それに対処しようと思うと当然のように思考時間が増えます。 1プレイ終了時に統計としてその周回のプレイ時間が表示されるのですが、私の場合は3つ目のマップをアポカリプス2で遊んだときにクリアまで20時間以上かかっていました。 それを見た時「これだけの時間をかけて負けたら心が折れる」と感じ、アポカリプスを上げてプレイすることを断念しました。 その後、標準難易度で最後のマップまでクリアしてこのレビューを書いています。 ちなみに4つ目のマップはアポカリプスなしで25時間かかりました。 似たジャンルのファイアーエムブレムは1マップにかかる時間は1時間程度、終盤であっても2～3時間といったところで、5時間を超えることはほとんどないでしょう。 ジャンルは全く違いますがローグライトという大きなくくりで見た時に、Slay the SpireやDead Cellsといった有名なゲームは1時間から2時間程度で1プレイを終える方が多いのではないかと思います。 ではその10～20倍の時間をかけてThe Last Spellをクリアしたときに得られる達成感や満足感がそれらのゲームの10倍20倍あるのかというと、そんなことはありません。 これは非常に感覚的な話になるので個人差が大きいと思いますが、私はほとんど同等か、好意的に見積もっても倍を超えることはないように感じます。 対して、クリアできなかった場合の喪失感や虚無感は、1プレイに時間がかかればかかるほど増します。 1時間程度でやられてしまったときは「次いこう、次」と思えますが、20時間もかけて最後のボスに負けてしまったら目も当てられません。 このゲームは終了時に自動的にセーブされるため、マップの途中からやり直すことはできません。やられてしまったらまた最初からです。 娯楽であふれ、可処分時間やタイパという言葉を頻繁に耳にするようになった昨今、自由に使える時間をどのように割り振るかは重要な問題です。 そんな中で、20時間をかけてそこそこの満足感しか得られない、しかも負けてしまえばそのすべての時間が水泡に帰すというこのゲームを他人におすすめするのは難しいというのが私の結論です。