Omoide Ni Kawaru Kimi Memories Off のレビュー

　「音緒・深歩」「環・響」「那由多・沙子」「音緒・カナタ」という4つの対を並べた構成。 　確かに対句を並べることに腐心して、人の心を動かす力が乏しい詩を読んでいるような気分にはなる。 　ただ、シーンタイトルコンプのために読み込んでいくと、理想的な対を作るために構成上細部まで『執着』した跡が見えてきて、なかなか面白い。

一部投げやりに感じるストーリー展開や魅力的ながらも灰汁の強いキャラクターは非難の対象になるのも納得いく。一方で人間関係の変化の機微にかかる描写力やセリフ回しなどテキストのハイセンスさ、既存のギャルゲー感が薄くトレンディードラマと類似した独特の雰囲気が魅力的。

[quote]・2002年に発売されたメモオフシリーズの3作目、フルHD対応 ・キャッチコピーは『かけがえのない想い…そして、また』 ・シリーズ最多の攻略ヒロイン7名、登場する男性陣も増えた ・１・２に登場したヒロインも再登場[/quote] “メモリーズオフ”シリーズの３作目、作中では初代から2年経過しており、本作の主人公は大学生という設定。そのため、初代及び2ndと比べると登場する主要キャラクターの年齢が高くなっている。 １，２をプレイ済みの人が本作をプレイすると「なんか今までのメモオフと違うな」という印象を多くの人が抱くのではないだろうか。前2作と比べると立ち絵のある男性陣が増えており、ギャルゲーにも関わらず最初は野郎同士の会話が中心で進む。また、１・２で登場したヒロインが成長した姿で登場するなど前作ファンにも嬉しいシーンも多い。シリーズ3作目として、新しい試みが目立つ作品である。 といっても、あらためて遊んでみた感想としては正直微妙。前2作と比べると登場人物が増えて、物語に深みが増した…わけでもなく、「たはー！」「きゃは☆」「ッス！」みたいな意味のない短文の連発が目立つ。物語自体に何か影響を与えるものでもなく、はっきりと言ってテンポが悪い。また本作は、各ヒロインの√が二人一組となっていて、途中で分岐する仕様となっているが、三角関係の修羅場を深く楽しめるかというとそうでもなかったりする。メインヒロイン2名以外は割と駆け足。付き合った後のイチャラブシーンが少ないのは過去シリーズ作と同様。 また、プレイヤーの分身となる主人公も「初代の未練駄々洩れ」「2ndの優柔不断」といった悪いところばかりを引き継いでしまい人によってはイライラするかもしれない。ある意味、人間味溢れる主人公像とも言えるのだが…。 良いとこが無いわけでも、シリーズファンとして決しておすすめできないということはない。読み進めていくと「まさか…こいつが…」と物語に引き込まれ、印象に残るシーンも多い。だが、個人的にはメモオフシリーズを始めて遊ぶ人はヒロイン達のビジュアル強く惹かれてという事でなければ本作から遊ばないほうがいい。そこまで物語に深く関わるわけでもないが、過去シリーズに登場したヒロインが成長した姿（＝立ち絵あり）で登場するので、最低でも2ndはプレイしておくともっと楽しめるはず。なお、本作は続編の４と繋がりが深いので、４を遊ぶ際には本作をプレイしておいたほうが良い。 [h3]★個人的おすすめ攻略順[/h3] [spoiler]那由多or紗子、響or環 →深歩→音緒→カナタ→after[/spoiler]