The Indigo Parallel のレビュー

PS1の奇ゲー「LSD」オマージュなウォーキングシミュレーター。 そこかしこの壁にぶつかり続けてワープしたり等はなく、各マップのギミックを活用してワープしていき、周回ごとの変化を楽しめるようになっている。 明確なモチーフを感じさせるものから、夢見特有の脈絡のないものだったり、パズルやシューティングといったミニゲームまで楽しめて、意外にもバラエティに富んでいるのが嬉しい。 無機質なグラフィックとたまに聞こえる無感情な機械音声の中にも、時にフフッとさせられたり、ホラーのような不気味な空間を手探りで探索したりと、飽きさせないだけの多彩さがある。 移動速度が速めなためマップの隅々まで探索しがいがあるが、移動時(とくにダッシュ時)慣性が効くため、3D酔いしやすい人は注意。

とても素晴らしいゲームです 特にNewTokyoが好き

奇妙で、所々怖いところがあるそんな作品で、とても面白いゲームでした。 もし別の作品が出たらやりたいと思いました もし気になってる方がいましたらやってみてはいかがでしょう (It was a very interesting game, strange and scary in places. If another one comes out, I would like to play it! If you are interested in it, why don't you give it a try?)

間違いなくPSの奇ゲー「LSD」の影響を受けた怪作です。 随所にFPSホラーゲームを意識したような描写が挟まれていますが、中にはレトロゲームを彷彿とさせるようなミニアクションゲームも含まれています。 謎解き要素も多くありますが、どれも直感的に理解できるものです。 どちらかというとパズルに近いかもしれません。 そしてそのストーリーは難解かつ、支離滅裂です。 しかし、周回を繰り返すごとに同じシーンでも如実に変化が現れます。 もしかしたら、このゲームが言わんとしていることに近づいているのかもしれません。 環境音や効果音は感覚に非常に強く訴えかけ、没入感を伴います。 私が2022年に遊んだゲームの中で最もお気に入りのゲームになるでしょう。 2024/10/12追記 新作が出ると言うことなので改めて遊びました。 また、アップデート等を振り返って再度レビューしてみたいなって思いました。 ストーリーやゲーム内容に関するネタバレ、考察を含みます。 閲覧にはご注意ください。 また、わたし自身が確信を持てないゲームデザインに関する考えも含みます。 わたしはホラーゲームの開発者ではないため、自分の意見が正しいと確信が持てません。 素人の戯言だと思って聞いてください。 まず最初に「面白いホラーゲームとは何か」を考えます。 わたしはあまりホラーゲームを遊ばないため、的を射たことを言えないかもしれませんが、 主に以下の二点なのではないかと思います。 ・いつ襲われるか分からない。プレイヤーをヒヤヒヤさせるような怖さ ・ゾッとするような事実、ストーリーがプレイヤーに突きつけられる、感心してしまうような怖さ The Indigo Parallelは後者の怖さを多分に含んだゲームであると思います。 そして、それはThe Indigo Parallelが斬新さを表す重要な要素でもあります。 このゲームにはいくつかの断片化された情報が散りばめられています。 具体例を挙げるなら ・文明の名残を匂わせる砂漠 ・廃墟化した博物館 ・襲い掛かるエイリアン ・黒魔術的儀式の痕跡 ・宇宙船 ・仏教や東洋思想への傾倒 ・未来の世界を匂わせるダイアログ ・労働や家庭の問題 これら断片化された情報を整理し、わたしはこのゲームに以下のテーマが存在すると思っています。 あくまでもわたしの推測であり、ゲーム内で明示されるわけではありません。 ①トム（作中で登場する幽霊のような人間）の家庭や仕事の問題 ②トムの心の変化 ③人を超えた存在への進化 ④世界の破滅 ⑤トムとの邂逅 ①トムの家庭や仕事の問題 これは度々ゲーム内で表現されるのですが、デイジーという人物（恋人？家族？）との関係のもつれが表現されます。 また、オフィスのような場所に首を吊った人物の死体があることから、ブラックな職場だと推測できます。 作中で登場する巨大な目を持った人物や、話しかけてくる目は、病んでしまったトムの精神状態を表現するものだと思います。 ②トムの心の変化 多くの問題を抱えたトムは自分自身を変える旅に出ます。 仏教や東洋思想、新たな考え方と出会い、トムの心には変化が訪れます。 そんな中、トムは偶然「人間を超えた存在へ進化する術」を知ってしまいます。 ③人を超えた存在への進化 悪魔との契約。 黒魔術に手を出し、もしくは科学的な力で人を超えた存在へと進化したトム。 ④世界の破滅 トムの力によって破滅に向かう世界。 作中に登場する廃墟や砂漠は破滅した世界の表現。 エイリアンはトムの配下の悪魔（ちょっと無理があるか）。 ⑤トムとの邂逅 全てのトムの足跡を追った主人公の元に現れる異形となったトム（エンディング） ちょっと無理矢理感もあるが、わたしはこのようなストーリーを連想した。 The Indigo Parallelの斬新なところは 「断片的な情報が複数のストーリーの繋がりを同時に連想させること」 そして、「その事実が、宇宙、人類を巻き込んだ壮大なテーマであること」だと思うのです。 こんなホラーゲーム他にあるだろうか？ 表現される情報が抽象的であるのも非常に憎らしい。 それ故にこのゲームは何週も遊んでしまう。 「まだ隠されたダイアログやマップがどこかにあるのでは？」 「エイリアン文字の意味は？」 時には思いがけぬイースターエッグが見つかる。 わたしはこのゲームのそういうところがたまらなく好きだ ただ、このゲームはアプデを繰り返して、少しだけおかしくなってしまったとも思うのです。 メッセージ性が無く、珍妙でおかしな雰囲気だけのマップが増えてしまった。 イースターエッグもダイアログも無く、探索する楽しさの無いマップ。 バックルームというマップは複数のマップからアクセスすることになるが、 魔改造されて遊園地のように騒がしくなってしまった。 作中に登場するモヤのようなオブジェクトは触れると画面にエフェクトをかけますが、それだけです。 アップデートの中で、The Indigo Parallelの魅力は少しだけ薄まってしまったように思うのです。 わたしはこのゲームを80時間遊んでいるため、味わい尽くしてしまったのかもしれない。 初めて遊ぶ人たちにはまだまだ新鮮な感動があると思います。 今のThe Indigo Parallelの味を楽しんでいただきたい。