Kohan: Ahriman's Gift のレビュー

Kohan: Ahriman's Gift は、元々Kohan: immortal sovereignsの拡張パックとして開発されたらしく、キャンペーンの難易度がRTS初心者にはかなりが高いので注意してください。キャンペーンは14ステージあるのですが、下手したら2ステージ目から全く先に進めないと思います。Kohan: immortal sovereignsはそれほど難易度が高くないので、RTS初心者の方はそちらを先にプレイすることをおすすめします。

ファンタジー系RTSゲームの傑作。 RTSゲームには、自陣を発展させつつ多数のユニットを使って敵を打ち倒す楽しさがあるが、ユニットの種類や特徴、ゲームのルールが複雑になるにつれて、戦略よりも操作のスピードや操作量が優先される、Button Babysittingと批判されるものもあった。 そんな中で、このKohanシリーズは、当時では少なかったヒーローユニット、兵の経験値による成長、陣形、士気低下による敗走、地形の効果、など様々なルールを加えながら、操作量自体は格段に少なくして、その上戦略を立てる面白さは維持している、非常に稀有なRTSゲームである。 ゲームの特徴は様々あるが、楽しさに結びつく大きな点は、部隊単位での操作と戦闘が自動である点である。 操作が部隊単位なので、一人一人の兵の操作をする必要がなく、また部隊の兵が一部倒されても、補給範囲で待機すれば自動で回復・補充されるので、兵の再生産などの操作も必要ない。 敵の部隊と遭遇すると、歩兵は敵に近づいて攻撃、弓兵・僧侶・魔法使いはその場から弓・魔法などで攻撃、支援をする（ここの支援も兵が自動で行うので、他のRTSと違っていちいちスキルを発動させる操作は不要）。しかし弓兵・僧侶・魔法使いは接近されてしまうと、弱い近接武器しか扱えなくなってしまう。よってこれらの支援ユニットは、敵の接近を防ぐ歩兵がいてこそ、強力な攻撃と支援が可能になっている。 もし彼らが戦闘中で、歩兵が前に出ている時に、後方から別部隊に攻撃されると、彼らは容易に接近され倒されてしまう。そうなれば前線にいた歩兵も、ろくな支援を受けられずに敗北してしまう事になる。 まさに敵部隊への挟撃になるが、これが実現可能でゲームの上でも効果的なのである。 他のRTSであれば、個別に素早く操作をして逃がしたり、反撃したりすることもできるかもしれないが、このゲームの戦闘は自動であり、戦闘中の個別の指示はできない。できるのは部隊単位の撤退命令のみであり、操作を駆使して打開するゲームデザインではないのである。 だからこそ、どの部隊を生産し、どのように配置して、何処でどのように敵部隊とぶつけるか考え、挟撃や各個撃破、包囲殲滅などの一般的な戦略を実現できる楽しさがある。操作が忙しくない分、戦略に十分思考と操作を割くことが可能なゲームなのである。 今では対戦は難しいが、いまだに存在するファンサイトでは、ユーザによるカスタムAIが公開されており、これがかなり手強かったりする。AI相手のみのカスタムゲームでも十分に楽しめる。 なおKohanシリーズは3作あり、1作目のKIS、その拡張版で2作目のKAG、続編のKOWがあるが、個人的に一番のお勧めはこのKAGである。KAGはKISにユニットとヒーローを追加したもので、KISの拡張と言われるが、KAGは単体で動作するのでこれを買うだけで良い。