Obenseuer のレビュー

妙な中毒性があって無限にやってしまう危険なゲーム。 もう個人的GoTYかも。 オブリやスカイリムで拠点にアイテムを溜め込んでちまちまアイテムクラフトするのが好きな人ならハマると思う。 あとタルコフとかのゴミ拾いが好きな人もハマるとおもう # 汚いあつ森 このゲームは実質あつ森である。 ベースはサバイバルだが、戦闘要素はない。あつ森なので。 プレイヤーは住民を誘致するため、金策とクラフトと拠点の改装を繰り返すことになる。とにかくあらゆる手を使って金を稼ぐのである。 密造酒を作って売り捌いたり、 ゴミ箱から拾ったネズミの肉とおがくず混じりのカビの生えた生地を組み合わせてピザを作って売ったり、 窃盗したアイテムをクラフトに使って盗品フラグを消したり、はたまた食洗機にかけて盗んだ痕跡を消したり、 やれることは全部やって金策をする。 何故か？ 主人公の使命はアパートを改装して住人を誘致することであり、そのためには莫大な金がいるからである。 ゲームの8割くらいやってることが金策なので人によって合う合わないはあると思う。 # ひもじいサバイバル ゲーム序盤は特にひもじい。 まず食料と水を確保しなければならないのだが、食料は豆のスープの炊き出しもあり割となんとかなるものの、まずいものを食べると精神状態が悪くなる上、依存症（後述）と戦う関係で精神状態はどうしても悪化しがちなため、食事にも手を抜くことができない。 そして水が本当に手に入らない。町には24時間営業のコンビニがあるのだが、ここで売られているミネラルウォーターが法外な値段で、これを飲んでいてはあっさりと破産するため、他のソースを探す必要がある。(実は簡単に手に入れる方法がある) また、プレイヤーは開始時の選択によって酒・タバコ・キノコのうち複数の依存症を抱えており、放置していると禁断症状が現れ、精神状態に影響する。長期的に依存症は克服していかなければならないものの、ある程度は嗜好品を摂取せねばならず、家計を圧迫する。 また、この世界には危険な緑のキノコが蔓延っており、キノコに近づきすぎたり直接摂取したりすることで病気が進行し、ヘルスの最大値が減っていく。対処法はあるにはあるのだが、金のない序盤にそこまで考えて行動するのは難しい。 ではどうするのかというと、ひたすらゴミ箱を漁るのだ。 このゲームはTESのようにゴミ箱の中身がリスポーンする。そこそこ有用なものが湧くこともあるので、ゴミ箱のリソースをうまく利用して生き残るのである。 この世界ではアイテムを換金する方法が乏しく、例えば酒商人は酒しか買い取ってくれないというふうに換金できるアイテムが決まっている。 最も簡単なのは、コンビニに設置されている空き瓶回収機。瓶や空き缶をコイン1枚に変えてくれる。序盤はここに溜め込んだ瓶を放り込むことになるだろう。 また、2周目をプレイしたところ、すごく楽に序盤を乗り切ることができた。知識で選択肢が増えるのはいいところ。 # 充実したハウジング サバイバルゲームには珍しく、いきなり自分の城がもらえる。アパートの1階部分(と、改装が必要だが地下室)がまるまる拠点になり、スタッシュも置けるし、家具を配置したりもできる。まあアパートと街の間の橋に料金所を置いているクソ野郎がいて行き来するのに金を取られるのだが… 家具の種類がとても多く、クラフトに使う家具もかなりバリエーションがあるためとても楽しい。 クラフト設備が整えば、今まで見向きもしなかった資源が役に立つようになってくる。 住民の部屋だけではなく自分の部屋や地下室も改装することができ、単に面積を増やしたり、キッチンをつけたり、トイレをつけたり、地下に工房やキノコ農園やサウナ(？)を作ることもできる。 特に自分の部屋の蛇口から綺麗な水が出るようになると格段に快適になるので、配管の工事は早めに済ませたい。 また、住民を誘致するためには各部屋を片付けなければいけないのだが、世界観が世紀末なので、緑に光る有毒キノコが生えていたり、有毒物質の袋があったり、最悪スープと化した死体に汚染されていたりする。これらを取り除くためには消費アイテムが必要になる。 ただ、このお片づけによってアイテムスタッシュや冷凍庫付き冷蔵庫(このゲームの冷凍庫は食品の劣化を0にしてくれる！)などの基本的な家具が手に入るようになっており、掃除を済ませることでできることが増えていく。導線がよくできていると思った。 一部の部屋はバリケードで塞がれており、入るには斧やスレッジハンマーなどの装備が必要になる。道具が揃うと徐々に活動範囲が広まる感じが楽しい。 # 香る北欧感 なんか全体的に雰囲気が北欧っぽい。My Summer Carの雰囲気が少し近いかもしれない。 サウナがあるのもそうだし、Kiljuを作れるし、NPCの店はそれぞれ営業時間と曜日が決まっており(しかも開いている時間が短い！)、営業時間が終わるとプレイヤーの都合なんて知ったこっちゃないという感じで店が閉まる。ここが北欧感がある。 「今日は改装作業をやろうと思ったけど金曜日だから資材屋は休みだっけ…」とか起きる。 そして日曜日は一部のNPCを除いて誰も店を開けないので、必然的にやれることが狭まったりする。 不便だが、これが案外生活している感があって個人的には好き。 また、ある程度何でも買えるコンビニと、拠点の階層を引き受けてくれるNPCの店など、重要な店舗は24時間営業しているため、絶妙に不親切にはなっていないのもポイント。 あと最高に北欧な感じがしたのが刑務所の待遇が異様に良い点。 めちゃくちゃ質の良い食事と水に加え、たばことマッチまで提供され、さらに独房内にはトイレと衛生度を回復するための石鹸ディスペンサーがつき、おまけに刑期の暇を潰すための雑誌やゲーム機まで配置されている。 序盤にどうしても食い詰めたらわざと窃盗するのもアリかもしれない。 全体的にスラムの小汚い感じ雰囲気がよく出ていて、特に建物の雰囲気がとてもリアル。探索できる範囲はそんなに広くないはずなのに、建物の中が迷宮に感じる。 新エリアの実装が楽しみ。 # 気になったところ ## ロードの長さ ロードがちょっと長い。体感で某スカイリムの2-3倍くらい。 開発力がないところが作ったバグまみれのゲームみたいな長さではないです。耐えられる程度。 ## サバイバル要素 食料・水・排泄・清潔度の4つの要求がある。しかも結構な頻度で対処を要求する。嫌いな人はここがすごく嫌いかも。これがなかったらつまらないことがわかっているので自分は大丈夫だったが。 しかも各要求は50%を超えるまでは表示が出ず、状態がわからないので、100%まで食いためておくみたいなことが難しい。 将来的にそこを表示してくれるMODが出たら絶対入れるかな。 個人的に排泄と清潔度の要求はかなりしつこく感じた。 排泄はトイレさえあればコストを必要としないが、清潔度が（おそらく定数で）低下する。 そして清潔度を回復させるアイテムはあるのだが、中盤以降はシャワーを浴びることで無料で回復できるため、煩雑なだけで意味のない要素になっている。 ## 家賃収入がしょぼい 家賃収入を得るためにはそれなりの投資が必要なのだが、現バージョンでは見返りがとても少ない。 たとえば、最も誘致が簡単な住人を住ませた場合の収入は週に250コイン程度だが、 カブ＋キノコの密造酒を12L作るには1.5日ほどかかり、最高品質ならこれが1000コイン程度で売れる。 あるいはゴミ箱を漁った時に、運が良ければペンキ(120コイン)が2個入っていることがあり、これを売却した代金がそれくらい。 そんな感じの相場観である。 完全な不労所得なのは魅力ではあるが、とてもRoI(投資に対する見返り)が低い。 実は前のバージョンではこの金額が週に1度ではなく毎日もらえていたとのこと。 ただ、これは「家賃収入が発生してしまうと、その瞬間に金策する理由がなくなる」という問題を解決するという開発の意図があったらしい。ので、そういうものだと思っている。 既に入居条件を満たしている住人の部屋でも、改装すると家賃が上がるのだが、この上がり幅がとても残念なことになっているため、ほぼやる意味がなくなっている。 改装費用を安く調整してもいいのかもしれない。 # 総評 ハマりすぎて遊びすぎた結果、部屋に重機を置いて拾ってきた空き缶を溶かしつつそこから時計を加工する設備が常に動いている体制ができるところまでやってしまった。 まだアーリーで、実装予定エリアの半分くらいまでしかできていないが、今の状態でもかなり遊べるので、スタッシュ症候群の皆様にはおすすめ