Sorcerer's Dream のレビュー

ノベルゲーム。 主人公 如月勇がミカエラという少女を助けるところから始まる異能力バトルな物語だ。途中で出てくる選択肢は選択を間違えるとバッドエンド直行というものになっており、1周目をクリアすると2周目で別ルートがアンロックされる。 低価格にしてはボリュームは多く描写が丁寧だ。「悪を倒す」という一貫したテーマがあり、主人公を含む3つの勢力の思惑や駆け引き、各登場人物の関係性の描写も面白い。ただ、2周目ルートの2人の悪魔の存在が浮いており、そのせいで1周目で良いと思ったところが薄れていってしまっているようにも思える。それでも上手く完結していると思う。 低価格ながら内容はしっかりしているのでノベルゲームが好きならオススメだ。

現代を舞台にした能力バトル物のノベルゲー。 前にプレイした「BAD END」と同じメーカーの作品で、 前作はアレな出来だったが、今作はCGも多めでお値段並みの読み応えはある。 10～12時間ほどで実績含めてコンプできると思う。 選択肢を間違えたら即死(&実績獲得)するタイプなのでコンプは簡単。 一周すると新しい選択肢が出て、新しい展開になるBルートが出現する。 いわゆるFateスタイル。 作品自体もTYPE-MOONを意識している気配がある。 「魔法使いの見た夢」 というのが邦題。 この作品読み応えはあるのだが、それが面白いと直結していない。 上記で書いたが自分はこのゲームを「能力バトル」と位置づけた。 しかし、タイトルは「魔法使い」であり、作中の能力の呼称も魔法である。 それでも能力バトルと称した理由は「魔法要素がほぼゼロ」なことにある。 魔法と言えば発動に詠唱が必要だったり魔法陣が出てきたり、魔法発動の駆け引きに色々なアイディアを繰り出すのが見どころだが「この作品ではそれらが一切無い」。 魔法に詠唱は必要なく、魔法陣もなく、最終的にはアイテム一つでパワーアップ。 個人的に思い描く魔法使いの要素が一つもなかったのが、 思うに「この作品は入りからすでに失敗している」といわざるをえない。 それがネックになって、なんか楽しめなかった。 ストーリーは「デビルサマナーの美少女を巡って大人達が争奪戦をする」。 ざっくり言うとそんな内容で、主人公もハタチの大学生。 基本的に大学生とおっさんとおっさんが年端もいかぬ少女を奪い合うという構図なので、冷静に考えたらひどいロリコン絵図である。 それ以外にも登場キャラはもちろんいるが、ことごとくハタチ以上なので、 王道展開を少年少女ではなく「いい大人達」が繰り広げるというところも、好みなのだろうけどちょっと燃えないなー、と思うところ。 Bルートも新キャラが出てきたりもするが、Aルートの価値観をぶち壊すような驚くほどの演出はない。 CGとかバトル演出とか概ね頑張ってはいるが、やはりシナリオライターの魔法という題材に対する捉え方が全てを致命的にしている。 BGMとかはタイトル画面から「ふわー」となるくらい良かったりして、頑張ってはいるんだけどねー。