PO'ed: Definitive Edition のレビュー

なおVeryHardでは敵がリスポーンしてしまうので 初見プレイでやるには過酷で、素直にHard以下で始めよ

　OXは冷静に回りを見回した。フライパンが目に入った。何もないよりはマシか。 「フン！おもしろくなってきたぜ！」 　不敵な笑みを浮かべながら、フライパンを片手に、OXは飛び出していった。 （日本PS版マニュアルのプロローグより抜粋） [hr][/hr] 　ポエドとは、エイリアンが侵略してきた宇宙船で戦いを繰り広げるという、どこにでもある設定のFPSだ。平凡でない部分があるとすれば、本作の主人公OX（オー・エックス）は雇いのコックだということである。フライパン、肉切り包丁、火炎放射器、ロケットランチャーを駆使して、クソを吐き出してくるケツ型エイリアンをぶち転がせ！ 　1995年に3DOで発売された本作。ストアページには「DoomとQuakeから着想を得た」とあるが、実際にはQuakeよりも早く発売されたばかりか、Quake登場までの短い栄華を謳歌していたDuke 3Dよりも僅かに早く、上下の視点移動や複数フロアの実装などはStar Wars: Dark Forcesからの影響が強い。進行ルートがシークレットめいて不可解なので、迷ったら常にMAPを確認していこう。 　日本では1996年にPS移植版が発売されており、なにせ当時のFPS操作というのはL2／R2で平行移動、□を押しながら上下キーで視点の上下移動とかいうのが当たり前であったから、有り体に言って快適に遊べるような代物ではなかった。上下から容赦なく遠距離攻撃してくる敵への対処、ジェットパックを用いた立体機動を使いこなせた猛者が、当時どれだけ居たというのか？まして3Dゲームを高いフレームレートでヌルヌル遊ぶなんてのは夢また夢の時代である。 　知る人ぞ知る奇ゲーであった本作を、何をトチ狂ったかNightdive StudiosがKEX Engineを用いてリマスター。もし1996年当時に「28年後にポエドのPC版リマスターが出るぜ」なんて言ったら、そいつは開発者よりも頭がイカレてると疑われたことだろう。 　俺はこのリマスター版を買う気はなかった。疲労困憊の週末の深夜テンションに当てられさえしなければ。そういう時の俺はかなりイカレてる。「とっとと二時間以上プレイして、後戻り（返金）できないようにしてやれ！」というゴーストの囁きに無様にも従ってしまうのだ。 　 　だってなあ考えてもみろ…マウス＆キーボード完全対応、現代環境で快適に遊べるってだけで、このクソゲーが面白くなるわけねぇだろ！ 　だいいち発売日に一切の割引をしない時点で[strike]売る気が無い[/strike]ユーザーを試しているとしか思えない。このところ古いゲームの移植さえ満足にできてないタイトルが散見されるなか、このリマスター版は完璧に作業しているため評価そのものはサムズアップとするが、ゲーム自体はべつに面白くない（もちろん96年当時でさえ面白くなかった）、2300円の価値があるか？あるわけねぇだろ！当時の洋ゲーを知る人間だけが覚悟して買え！ 　ちくしょう、俺は疲れてたんだ…！