Twilight Town: A Cyberpunk Day In Life のレビュー

政府による監視社会の中で平穏な人生を求めて暗い道を進み続けるイクロウ(主人公)の日常の数日間を切り取った、超短編というよりも物語の冒頭部分(プロローグ)だけといった感じの2Dドット絵が素晴らしい、選択肢無し・一本道の近未来サイバーパンクSF物語です。 面白かった！とても面白かったです！！ まさに「物語の冒頭部分だけ」という短い物語なのですが、登場人物の表情がよくわかるグラフィックも、所々に動きがあるドット絵の背景も、これこそがサイバーパンクSFの世界観だ！と言わんばかりの圧し掛かるような暗い雰囲気も、”ウッ”と止まらずスラスラと読める文章も、場面場面にピタリと合う聴き心地の良いBGMも、全てが違和感なく”一つの作品”として融合していてプレイしていて気持ちが良かったです。 *** 注意 *** この作品は、かなり直接的な下ネタ系の会話が頻繁に出てきます。 下ネタ系の会話が嫌いなお方は、このゲームをプレイしないことをお勧めします。 *** 注意 *** プレイ時間は２時間半程でした。 ただ私は文章を読む速度が遅く、聴き心地の良い音楽に耳を傾けながら、背景を隅から隅まで見ていたのでこのぐらい時間がかかってしまいましたが、恐らく普通にプレイした場合は４０分程でクリアできると思います。 多くの娯楽が禁止されている監視社会の中で、主人公のイクロウは自分の夢を実現させるために違法のAI開発をし続け、ついにお金がなくなり、一発逆転を狙ってギャンブルに手を出し、そして・・・という、どこから来るのか分からない不安と恐怖を抱えながら、何とか毎日をやり過ごしていく中での激動？の数日間を切り取ったサイバーパンクSF物語です。 「このゲームの良かった点」 ・タイトル画面の歌 タイトル画面で流れる歌が雰囲気が良くてとても良かったです。 ”♪つーきーがー、みーてーるー”、ゲームを起ち上げると毎回しばらく耳を澄ませて聴いてしまいます。素敵です。 ・表情が良くわかる立ち絵 主要人物達の立ち絵がスッキリしていて見やすく、表情が分かり易くてとても良かったです。 サイバーパンクSFの雰囲気にバッチリと合っていて物語に集中できました。 ・AIのSeiが可愛い 顔文字で会話するAIのSeiが可愛いです。最高です。 ・背景が凝っている 所々に動きがある2Dドット絵の背景はずっと頭に分厚い雲がかかったような暗さがあり雰囲気が最高でした。 ・サイバーパンクSFの世界観が見事 圧し掛り続ける暗さ・束縛される行動・常に見られているような閉塞感「これ！これこそがサイバーパンクSFの世界観だよ！どうよ！？」という作者さん達の声が聞こえてきそうな世界観が素晴らしく、プレイしていてとても楽しかったです。 「このゲームの悪かった点」 ・物語が途中で終わる これから物語が動き出す・・！ということろで物語が終わります。 まるで連載途中で打ち切られた漫画のように、少し強引に”まとめ”が入って物語が終了します。 全編通して文章は読みやすくBGM・背景・立ち絵の雰囲気はすごく良く、これからイクロウ達はどうなっていくのだろうと期待をしたところで突然”まとめ”が入り「 えっ！ちょっとまって、まさか」と思ったころでスタッフロールが流れ「あ～・・・」となり、少し、いや、かなり寂しくなりました。 作者さん！続きはいつ出ますでしょうか！？ イクロウとその仲間達？の、その後を描いた物語が是非！見たい(読みたい)です！ 作者さん！予定は！続きの予定はないでしょうか！？ ご検討をよろしくお願いします！ 近未来サイバーパンクSFの雰囲気が最高で、キャラクター達は皆、不安と窮屈、暗さを抱えていて、４０分程でクリアできる選択肢無し・一本道の2Dアドベンチャーゲームです。 物語を追うのが好きなお方や、超短編SF作品がお好きなお方にお勧めです。