Sayonara Electric のレビュー

「結末はひとつしかないので、ゲーム実況配信はご遠慮ください」という注意書きから始まる掌編アドベンチャー。 主人公は男女ふたりいますが、基本的な内容は共通。片方のルートは30分ほどで読み終わる、あるいは聞き終わります。 ゆったりとした雰囲気と、アートスタイルに寄り添った落ち着いたフルボイス音声が見事です。 私はアドベンチャーゲームを文字だけ読んで声を聞かずにサクッと終わらせることが多いのですが、本作は短編ということもあり、ゆっくりと聞きながら読み進めました。 ただ読み進めるだけでなく、一部のシーンではポイントアンドクリックアドベンチャーのようなギミックを搭載。 自由に文字を入力するシーンもあり、自分の手で物語を進めていく手応えを感じました。 ストーリーは「ははーん、これはそういうことだな」と私に思わせるわかりやすい餌で釣りながら、「そういうことだったのか……」と驚かせる展開。結末を知って、もう一度はじめから遊びたくなりました。 前述の通り、主人公はふたり。もう一度遊ぶなら、今度は違う主人公を選ぶと新鮮な気持ちで遊べるという心配りがありがたい。 一方で一般論として、ゲームのネックとなるのはプレイ時間と値段。980円で30分、あるいは2週して50分ほどか。Steamの返金ポリシーと照らしても、こういった掌編ゲームを販売するのは勇気がいることでしょう。値段＝プレイ時間で換算すると確かにパフォーマンスは悪い。しかし、値段＝驚きならきっちり仕事をこなしていると思います。