Millionaire Manor のレビュー

このゲームは面白い。言ってしまえば単なるアイテム探しゲームなのだが、細かなアレンジに工夫があり、単調になりがちな同ジャンルのゲームを上手くまとめてある。 内容としてはひたすらアイテム探しとそのアレンジルールをクリアーしていくだけで、ストーリーなどはほぼ無いと考えて良い。ゲーム内容としてはかなり偏った内容とも言える為、アイテム探しというジャンル自体が嫌いな人は買うべきでは無い。ただ、同ジャンルが嫌いでなければ十分楽しめると思う。 このゲームの特色としては、基本的なアイテム探しの他にそれをベースとした様々なアレンジルールの存在がある。通常のアイテム探しであればアイテムの名称から絵の中にある同じアイテムを探す事になるが、このゲームではそれは「List」と言う一つのルールになっている。またアイテムのシルエットから探す場合は「Silhouette」と言うルールになり、他にもジグゾーパズル風のルールや、間違い探し、謎々を解く事で目的のアイテムが分かるルールなどもある。 これらの複数のアレンジルールが存在する事で、単純にアイテム探しを繰り返すだけのゲームに上手くメリハリが付いて居る。良くあるこの種のゲームでは単調さを無くすためにストーリーに力を入れてみたり、全く別種のパズルを大量に入れ込んでみたり、もはやそれはアイテム探しゲームなのか、アドベンチャーゲームの中にアイテム探しが入れてあるのか分からない様な物もあるが、このゲームは「アイテム探し」という部分にフォーカスしたまま上手くゲームとしての多様性を作り上げてある。 また、アレンジされたルールで同じ問題を解くと言うゲームシステムは、単にバラバラの問題を解く以上にゲームとしての楽しさも向上させている。 例えば「List」を先に解くとその問題に出てくる大体のアイテム名称が分かる。アイテム名称が分かると、「Riddle」で出される謎々の答えも想像付きやすくなるなど、別のルールで解いた答えが他のルールを解くヒントになる様に出来ている。この解けば解く程有利になるシステムによって、ゲーム攻略に導線が産まれ、ゲームを進行しやすくしている。 ここまではこのゲームの良い点ばかりを上げてきたが、もちろん悪い点が無い訳ではない。 まずはなんと言っても、単純すぎるゲーム内容は問題だろう。幾らアレンジされてるとは言っても、基本はアイテム探しに尽きるゲーム内容は人を選ぶ。 また、通常のゲーム進行ではどのアレンジルールで問題を解くのかを選ぶ事は出来ず、ルーレットによりランダムに選ばれたルールで攻略していく必要がある。ストーリーをクリアーした後は自由にルールを選ぶ事が出来るが、自由にルールを選べないストーリー部分ではストレスの貯まる場合もある。 最後はグラフィックの悪さを上げる必要がある。ゲームの基本となるアイテム探しの画像が良い物だとはとても言えない。写真やCGを加工したらしき画像はリアリティもイラストとしての味もなく、あくまでゲームとして成立してる以上の良さは無い。また妙にjpgモアレが目立ち、一部アイテムは答えが分かっても何が描画されてるのか良く分からない所もある。 この様に幾つかの悪い部分もあるが、いずれもゲームプレイを妨げる程では無く、全体としては良い点の方が多い。 ストーリーモードのクリアーで1-2時間程度、全ての問題を全てのアレンジルールでクリアーするのに2-3時間程度、計4-5時間程度のプレイ時間。長いゲームでは無いがセール時の値段を考えると相応かとも思う。 アイテム探しというジャンルを超えるゲームでは無いが、このジャンルを上手く拡張したゲームとして、同ジャンルが嫌いと言う人でなければお勧め出来る。